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歯周病による口臭の特徴と対策方法
![歯周病による口臭の特徴と対策方法](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-00.jpg)
口臭の原因はさまざまですが、その原因のひとつに歯周病があります。
自分の口臭に関しては、日頃から気にかけている人も多いかと思いますが、歯周病による口臭は自分では分かりくいため、知らないうちに他人に不快な思いをさせてしまっているかもしれません。
今回は、そんな歯周病の口臭について、においの特徴や原因、チェック方法や予防法など詳しく解説していきます。
歯周病の口臭とは?その特徴と種類
![歯周病の口臭とは?その特徴と種類](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-01.jpg)
歯周病による口臭は、通常の口臭とは違って特有の強いにおいがします。
市販されているような口臭予防グッズでは改善が難しいため、しっかりとした対策が必要です。
まずは、歯周病による口臭の特徴について詳しく見ていきましょう。
歯周病のにおいの特徴
歯周病による口臭の特徴的なにおいは、
- 腐った玉ねぎ
- 腐った卵
- 生ゴミ
などのような、強烈なにおいとして感じられることが多いです。
他の口臭とは明らかに異なる腐敗臭で、歯周病患者の約8割の人が悩んでいると言われています。
特に進行が進んだ重度の歯周病では、周りの人にも感じられるほどのにおいを発することがあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
腐った玉ねぎや卵、生ゴミのようなにおい
「腐った玉ねぎ」や「腐った卵」、「生ゴミ」などに例えられるこの歯周病の口臭は、歯周病菌が口の中でタンパク質を分解し、その過程で発生する「揮発性硫黄化合物(VSCs)」というガスが原因です。
硫化水素やメチルメルカプタンなどの成分が多く含まれており、特に酸素の少ない歯周ポケットの中で多く発生します。
このような腐敗臭の原因物質は、におい分子が非常に小さく口内から外に放出されやすいため、周囲に不快感を与えるにおいとして感じられるのです。
歯周病が進行するほどガスの発生が増え、においも強くなります。
歯周病による口臭は、単なる食べ物や飲み物が原因の口臭と比べても強く持続的である特徴があります。
歯周病による口臭が強くなる原因
![歯周病による口臭が強くなる原因](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-02.jpg)
歯周病が原因で口臭が強くなる理由には、主に以下のような事が挙げられます。
歯周ポケットの深さ
歯周病が進行すると、歯と歯茎の間にある歯周ポケットが深くなります。
この歯周ポケットは4mm以上になると、歯周病のリスクが高まるだけでなく口臭の悪化にも影響を及ぼします。
この深い部分には歯ブラシが届きにくく、細菌が溜まりやすくなるため、歯周ポケット内で細菌が増殖し、その際に発生するガスが悪臭を引き起こします。
また、進行することでにおいが強くなるとともに歯茎の状態が悪化し、歯が揺れたり出血が頻繁に起こるようになります。
歯茎の炎症と膿
歯周病の進行に伴って歯茎が炎症を起こし、膿が溜まることがあります。
この膿が発するにおいも、歯周病による口臭の原因です。
炎症の程度がひどくなるほど膿が多くなり、細菌の活動によって分解され、さらに口臭を強くします。
歯垢・歯石の蓄積
歯垢や歯石は、細菌が固まりとなって形成されるもので、これが歯周ポケットに蓄積すると細菌が活発に繁殖しやすくなります。
歯石は通常のブラッシングでは除去が難しく、歯科での専門的なクリーニングが必要です。
この歯石を放置することで歯周病が悪化し、口臭が強まる原因となります。
歯周病による口臭は一般的な口臭と異なり、慢性的で治療や口腔ケアを怠るとますます強くなる傾向にあります。
歯周病が進行するほどにおいも強くなり持続的になるため、早期発見と対策が重要になってきます。
口臭が発生する他の原因(詰め物、義歯、生活習慣など)
歯周病が口臭の原因であることが多いですが、他にもさまざまな要因が関わっている場合があります。
詰め物や被せ物
詰め物や被せ物が適切にフィットしていない場合、隙間に食べカスや細菌が溜まりやすくなり、これが原因で悪臭が発生することがあります。
義歯や入れ歯
義歯や入れ歯のお手入れが不十分な場合も細菌が繁殖し、においが生じやすくなります。
さらに、口呼吸をする習慣があると口内が乾燥しやすく、細菌が増える原因となるため、口臭の発生を助長してしまうことがあります。
生活習慣
生活習慣による影響としては、タバコやアルコール、コーヒーなどが挙げられます。
これらの成分は口内の乾燥を引き起こし、細菌が繁殖しやすくなるため、日常的にこれらを摂取している場合、口臭が発生しやすくなります。
また、食事後にすぐに歯磨きをしないと、食べカスが分解されて嫌なにおいが発生することもあります。
このように、歯周病が原因であっても、詰め物や生活習慣も関係している場合があるため、口臭を防ぐためには生活習慣の見直しや歯科での定期的なチェックが欠かせません。
歯周病による口臭を自分でチェックする方法
![歯周病による口臭を自分でチェックする方法](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-03.jpg)
歯周病による口臭は自分では分かりにくく確認しにくいですが、いくつかの方法を使えばチェックする事が可能です。
ここでは、自分でできる簡単な口臭のチェック方法をご紹介します。
コップや袋を使ったセルフチェック
まずは、コップや袋を使ったチェック方法です。 息を吐き出して、そのにおいを確認するだけの手軽な方法です。
- コップを口元に持ってきて深呼吸した後、コップの中に息を吐き出す
- そのままコップの口をふさいで数秒待ち、においがこもるようにする
- コップを鼻に近づけてにおいを確認する
この方法で、もし「腐った玉ねぎ」や「生ゴミ」のようなにおいが感じられた場合は、歯周病による口臭の可能性が高いと考えられます。
唾液のにおいをかいで確認する
続いては、唾液のにおいを確認する方法です。
舌の表面に付着する細菌が歯周病の要因となり特有のにおいを発生させるため、舌からのにおいでも口臭の状態を把握できます。
- 指やガーゼなどで舌を軽くこすり、少量の唾液を採取する
- その唾液を少し乾かし、においをかいでみる
唾液が乾くとにおいが強調されるため、口臭が気になる場合はこの方法で確認してみましょう。
口臭チェッカーや細菌検査の活用
最近では、口臭チェッカーと呼ばれる携帯型の検査機器が市販されており、簡単に自分の口臭を測定できるようになっています。
口臭チェッカーは息を吹き込むと口臭の強さを数値で表示してくれるため、目安としてとても便利です。
- 検査機器に息を吹きかけ、口臭の強さを測定します
- 測定結果が数値化されるため、自分の口臭レベルを客観的に確認できます
自分でチェックする方法以外にも、歯科医院で細菌検査を受けることも可能です。
細菌検査では、歯周病菌の量や種類を調べることができ、より具体的な口腔内の状態を把握できます。
歯周病菌の数が多い場合、口臭が強くなる傾向があるため、歯科医院で検査することによってより的確な対策を取ることが可能です。
歯周病による口臭の治し方と予防法
![歯周病による口臭の治し方と予防法](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-04.jpg)
歯周病が原因で発生する口臭を改善するためには、日々の口腔ケアを徹底する必要があります。
ここでは、歯周病による口臭を防ぐための具体的な方法についてご紹介します。
毎日の歯磨きやデンタルケアの徹底
毎日2回、朝と夜の歯磨きは口臭を予防するための基本です。
歯周病菌は歯と歯茎の境目に溜まりやすいため、歯周ポケットの隙間まで丁寧に磨くことが大切です。
歯ブラシは毛先が細いものを選び、歯茎のラインに沿って優しく磨きましょう。
また、歯垢は口臭の原因にもなるため、歯の表面だけでなく歯と歯の間も意識してケアすることが大切です。
歯周病予防の歯磨き粉・洗口液の使用
歯周病予防に特化した歯磨き粉や洗口液の使用も効果的です。
市販されている歯周病対策製品には、抗菌成分や殺菌成分が含まれており、歯周病菌の増殖を抑えるのに役立ちます。
歯磨き粉は、フッ素やトリクロサンなどが含まれたものを選ぶと、歯周病菌に対する予防効果が期待できます。
また、洗口液を使用することで歯ブラシが届かない箇所にも殺菌成分が行き渡り、口臭を防いでくれます。
歯間ブラシやデンタルフロスで歯垢を除去する
歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間に残った歯垢を除去することも大切です。
歯と歯の間は、普通の歯ブラシでは磨き残しが発生しやすく歯周病の温床となります。
特に歯周病が進行している場合は、歯間に細菌が溜まりやすくにおいの原因になります。
食べ物のカスが残りやすい場所でもあるため、歯間ブラシやデンタルフロスを使ってしっかり除去する習慣をつけましょう。
定期的に歯のクリーニングを受ける
歯科医院での定期的なクリーニングは、歯周病の進行を防いで口臭を改善するために効果的で、3~6か月ごとに行うのがおすすめです。
通常の歯磨きでは取り除けない歯石や歯垢を専門の機器で徹底的に除去することで、歯周病菌が増える原因を取り除くことができます。
歯科クリーニングは、歯茎の健康を保つだけでなく口臭を防ぐ重要な役割を果たします。
専門的な歯周病治療を受ける
進行した歯周病による口臭を根本的に改善するためには、専門的な治療が必要です。
歯周病が重度の場合、歯周ポケットが深くなり、歯ブラシだけでは細菌を除去する事ができません。
歯科医は、歯周ポケットの奥深くまでクリーニングを行い、細菌を徹底的に除去することで口臭の元を取り除きます。
場合によっては、歯茎の手術や歯周組織の再生治療が行われる場合もあります。
歯周病による口臭は単なる対処法では抑えきれない場合が多く、専門的な治療を受けることで、歯周病による口臭を根本から解消し、健康な口腔環境を取り戻すことが可能です。
歯周病の口臭に関するよくある質問
![歯周病の口臭に関するよくある質問](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-05.jpg)
最後に、歯周病の口臭に関するよくある質問についてまとめました。
自分の口臭を確認する方法は?
口臭は自分で気づきにくいものですが、いくつかのセルフチェックで確認することが可能です。
代表的なチェック方法には、
- コップや袋を使ったチェック方法・・・コップに息を吐き出し、数秒後ににおいを確認する
- 唾液のにおいで確認する方法・・・指で下の表面を軽くこすり、そのにおいを確認する
- 口臭チェッカーを利用する方法・・・口臭を数値化して確認する
などがあります。
こうしたセルフチェック方法を活用することで、簡単に口臭の状態を確認できますが、より正確な診断が必要な場合は、歯科医院での専門的なチェックがおすすめです。
歯周病を放置するとどうなるのか?
歯周病を放置すると、口臭だけでなく歯や歯茎の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
初期段階の歯周病は軽い炎症から始まりますが、進行するにつれて歯茎が腫れ、歯が揺れ動くようになります。
さらに悪化すると、歯槽膿漏(しそうのうろう)と呼ばれる状態になり、歯を支える骨が溶けてしまいます。
最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
また、歯周病は全身の健康にも影響を及ぼすとされており、糖尿病や心臓病、脳卒中などのリスクを高める要因とも言われているため適切なケアがとても重要です。
歯周病以外に考えられる口臭の原因とは?
歯周病が原因の口臭が多いですが、他にも以下のように口臭を引き起こす原因があります。
- 詰め物や被せ物がフィットしていない・・・そこに食べカスが溜まり細菌が増える
- 義歯や入れ歯のお手入れが不十分・・・食べカスが残り細菌が繁殖する
- 口呼吸の習慣がある・・・口内が乾燥しやすくなり、唾液による洗浄効果が減少して細菌が増殖する
- タバコ、アルコール、コーヒー・・・頻繁に摂取する場合は口臭を悪化させる原因になる
- 胃腸の不調、ストレス、睡眠不足・・・生活習慣も口臭に悪影響を与える原因になる
このように、口臭には歯周病以外にも多くの原因が考えられるため、口臭が気になる場合は生活習慣を含めた総合的なケアがとても大切です。
まとめ
![歯周病ってどんな病気?知っておきたい基礎知識 まとめ](/images/periodontal-disease-bad-breath/periodontal-disease-bad-breath-06.jpg)
今回は「歯周病の口臭」に関するにおいの特徴や原因、チェック方法や予防法などについて詳しく解説しました。
歯周病による口臭は、しっかりと治療をしないとなかなか改善されません。
また、放置してさらに歯周病の症状が悪化するすれば、さらに口臭も強くなり日常生活に支障をきたす場合もあります。
歯周病は、早期のうちに治療を始めることで進行を止め、健康な口内環境を維持することが可能です。
自分の口臭が気になる方、歯周病の疑いがある方は、歯科医院での診察と早めの治療をおすすめします。